テーマ 154 “仕事にチェレンジしない部下”の指導法
■部下に自信を与える
「失敗を恐れて仕事にチャレンジしない部下、
答えがないものにチャレンジするのを怖がる
部下がいるがどう話すとよいのか」
とのご相談を受けることがあります。
下記のように様々な理由で新しい仕事に
チャレンジしようとしない部下の方がいらっしゃいます。
・「時間をかけ努力したにも関わらず失敗したときの
心の打撃が恐ろしい」と仕事にチャレンジしない部下。
・「学校の勉強や試験は答えが必ずあり成果が分かるので安心して
勉強に取り組めたが、仕事のチャレンジは答えがなく先が見えない」
と自分の弱気との葛藤で頭が錯綜している部下。
このような部下の方は自分自身に自信を持てないでいる場合が多く、
日頃から「あなたなら大丈夫、できる」と背中を押し、
自信を持たせてあげることが重要です。
人は、だれもが「自己効力感」というものを持っています。
「自己効力感」とは、カナダ人の心理学者
アルバート・バンデューラ氏が提唱したもので、
目標に向かって、「自分は目標を達成することができる」、
「自分ならできるはず」という自分の可能性を
信じる自信に満ちた感覚のことです。
面談においては、無責任な背中の押し方をするのではなく、
部下の方から仕事の状況や課題点などを聴き、
必要に応じて今後の仕事の進め方や課題点について
一緒に考えてあげて、その上で、部下の方に対し、
期待している旨を伝え、あなたなら絶対に必ずできる、
解決できると激励し、背中を押してあげることが重要となります。
■部チャレンジの意味を自分の言葉で伝える
また、面談においては、チャレンジしてみて失敗した場合、
何を失い、何を得るのか一緒に考え整理して上げ、
失敗は怖くないことを理屈として伝えることも重要です。
一般的には、仕事へのチャレンジにあたって
部下に伝えることは下記のようなことになります。
上司として自分の経験も交えて、自分の言葉で話すことが重要です。
@取り組んでうまくいかなかったとしても、
時間と労力を掛けた分、うまくいかなかった理由や
別な方法をとるしかないことが分かるなど得るものは大きい。
A行ってみなければ何も得られない事実がある。
B答えがない分、途中で新しいことを発見することもあり
想定外の無限の可能性があるのがチャレンジ。
C自分が中心になって新しいチャレンジをすることで
リーダーシップ、責任感、やりがい、対人関係の面などで
理屈だけでは分からなかったいろいろな気づきが得られる。
D結果でなく、「自分はチャレンジした」
「自分はチャレンジすることができる」
という取組み自体が自信となる。
E上司をはじめ会社の承認を得て行うことであり、
当然会社の協力があり、皆で一緒に知恵を出し合う体験を得られる。
Fチャレンジに対する考え方や失敗すると何を得て
何を失うのかなどの経験を自分が部下を持った時に
伝えることができる。
G成功しても、失敗しても仕事面、精神面で成長するには
最高に良いチャンス。
■チャレンジは仕事の必須要件であることを教える
アメリカの経営コンサルタントである
マイケル・ロンバルド氏とロバート・アイチンガー氏の
調査研究に下記のようなものがあります。
「ビジネスにおいて人は70%を仕事上の経験から学び、
20%を先輩・上司からの助言やフィードバックなど他者から学び、
10%を研修や書籍から学ぶ」。
これは「7・2・1の法則」とも言われております。
両氏は、上記の「仕事の経験からの学び」、
「他者からの学び」、「研修、書籍からの学び」は、
単体では、楽器や道具にすぎず、オーケストラのように
組み合わせることで最もよく機能すると言っています。
この法則は、部下の方の育成にもあてはまります。
職場の実務では、部下の方の育成のためには、
「チャレンジを含め適切な仕事を与え経験させること」、
「面談などにおいて部下の指導支援を行うこと」、
「読書や資格取得の勉強、研修への参加などにより勉強させること」
これらのことを計画的、継続的に行うことが重要となります。
会社内で仕事をする場合、新しいことにチャレンジするということは、
仕事上必須の要件でもあります。
仕事にチャレンジすることの必要性を時間をかけても
部下の方に教えてあげ、実際に経験してもらうことが必要です。
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